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溶かされてみる?
第10章 惑う心と誘う夢
「だいぶ雲行きが怪しくなって来ましたね…」
「今日は家に帰るか〜!」
気づけばお昼は過ぎていて、天気予報通りに空の調子は悪くなっていった。
「はいじゃあみんな帰ろ〜!」
「あたしは、寄るところがあるの!」
「寄るところ?」
あたしはこの時みんなに自信満々にさっきの話をする。
「宵岬(よいみさき)の花の話ですか…」
「とーやくんしってるの??」
「あそこは危ないからやめとけ!」
とーやくんもジョーくんも行こうとするあたしを必死に止める。
「そんなにそこあぶねぇの?」
りっくんはどうやら少し興味を持ったようで2人に聞く。
「花見てみたいね〜〜」
れおくんも乗り気みたいだ。
「ダメだ、やめとけこっからじゃ遠いし。」
あっくんも止めようとしてくる。
そんなこんなで話をするうちに、風が吹き荒れ、大粒の雨が降り出した。
「みんなは行かなくていーの!れんがいく!」
「あ!こら恋!!」
みんなが追いかけてくる前にあたしはその場所へと走り出す。
ザアアアァ…
タッタッタッタ…
「…恋ッ!!」
雨の中、道を走るあたしの後ろからパパの声が聞こえた。
きっと夕方になる前に帰ってこいって言われたのに帰らなかったから怒ってる!!
でも…お花あげたらきっと喜ぶよね…
少し考えあたしは
「ちょっと待っててね!パパ!」と叫びそのまま走る。
「そっちへ行ってはいけないよ!!恋!!」
必死に叫ぶパパの声が後ろの方から聞こえ、あたしは少し悩み立ち止まって後ろを振り返る。
するとあたしの前の方から
ちょうどスピードが出ているトラックがこっちに向かって来て…
「危ない!!!!」
「え…??」
ドシャーーーン!!!…
あたしは一瞬何が起きたかわからなかった。
最後にパパの声とトラックのクラクションの音と大きい音が聞こえて…
あたしは道に倒れていた。
でも痛いところはない。
「恋!!!」
「れんちゃん!!」
近くからみんなの声がする。
「パパ…??」
みんなの声がするのに、一番初めにいたパパの声は聞こえない。
あたしは起き上がり、雨風のひどい道を見渡すと倒れたトラックの横にパパの姿があった。