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溶かされてみる?
第10章 惑う心と誘う夢
そのあと救急車が遅れて到着したが、パパがもどることはなかった。
あたしは最後に血まみれで倒れるパパの側で叫んでから、気を失い何週間か目を覚まさなかった。
その後目を覚ましたあたしは、その頃の記憶が全て消えていた。
医者からは、極度のショックによる記憶喪失だと言われていたそうだ。
それからのあたしはお母さんと親戚を頼り家を転々とし、その頃の記憶を思い出すこともなく、またこの町に戻ってきた。
耀さんはあたしの実の父親であり、誠司さんとお父さんは親友でお母さんも仲が良かったようだ。
お父さんが亡くなってから辛かったお母さんを誠司さんはずっと支え続け、そして眠るお父さんに2人は挨拶に行き結婚することを決めたというのが、今回のお母さんたちの本当の結婚の経緯らしい。
あたしは昔のみんなとの記憶がなかったが、みんなは当然昔のあたしと記憶があったため、妙だと思っていた原因はそこにあった。