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溶かされてみる?
第10章 惑う心と誘う夢
「ごっ…めん…なさ…ッい…」
あたしは必死にみんなに謝った。
謝っても謝ってもこの溝は深くてきっと埋めきれない。
「違う!俺らは恋に謝ってほしくてこの話をしたんじゃない!」
謝るあたしに彰さんは怒鳴る。
「悪い…でも俺らは本当にそんなことをして欲しいんじゃない」
「恋が記憶が戻るのも時間の問題だと思っていた…」
「だから俺らはもし記憶が戻った時は恋を支えようって…」
「きっと一番せめて苦しむのは恋ちゃんだから」
怒鳴った後にバツが悪そうに話す彰さんに続き、遠哉さん、暁翔さん、黎泱先輩が口を開く。
「なん…で…」
あたしにそんな優しくされる資格なんて…
「なんでってね、みんな恋ちゃんに救われてるし…「みんな恋のことが本当に大切で大好きなんだよ」
皐君と律先輩は立て続けにそういった。
救われて…って…
そんなこと何もして…
「小さい頃出会った私たちは、あの頃みんな何かしらの問題や悩みを抱えていた」
あたしが考えていたことを察したかのように遠哉さんが言った。
「恋ちゃんは俺たちと遊んだり話したりして無意識だったかもしれないけど、俺たちからしたらその時にもうすでに救われてたんだよ」
皐君があたしの涙を手で拭きながらそう告げる。
「そんな…」
あたしはむしろあの頃友達がいなくて、みんなに助けられてた方なのに…
「そんなことあるぞ」
暁翔さんがあたしをまっすぐに見つめて言う。
「あるから俺たちがこうやって今一緒にいるんだろう?」
彰さんがさっきとは違う優しい声で、あたしの頭を撫でる。