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第10章 惑う心と誘う夢

「耀だって、後悔はしてないよ恋ちゃん」
誠司さんが力強くあたしに言う。

「誰も恋のことを責めてないから。だから…」
もう泣かないで恋…とお母さんはあたしを抱きしめた。

あたしは…どれだけ周りの人に支えられて…
どれだけ周りの人に迷惑をかけてきたんだろう…

これだけみんながあたしのことを考えていてくれたのに…
あたしは…この人たちにこれから何が返せるのだろう…

「お母さッ…ん」
迷いながらあたしはお母さんの背中に手を回し抱きつく。

「恋…せめて思い出したなら…耀のこと…心の中で忘れないでいてあげて…」
お母さんは泣きながらあたしに語りかける。

「う…っん…忘れな…い…もう…絶対…」
あたしはその晩、お母さんの腕の中で生まれたての赤子のようにずっと泣いた。