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溶かされてみる?
第11章 嵐の予感
「ヴァンパイアと一緒に行ってもいいの〜?」
おんなじお化けみたいなものだよ〜?とあえて拍車をかけるように黎泱先輩はあたしをおちょくる。
「だって黎泱先輩だもん」
どんなにヴァンパイアな格好してようがお化けだろうが、中身は優しい黎泱先輩であることに変わりはない。
「俺が途中でいなくなったりするかもしれないよ〜?」
黎泱先輩はあたしを覗きながら言う。
「黎泱先輩はそんなことする人じゃないです」
いつも優しいし、気遣い上手だし、そんな黎泱先輩がそんなことするはずないですよとあたしは真面目に答えた。
「はあ〜…」
「え…??」
困ったのか嬉しいのかどっちかわからないようなため息を黎泱先輩をこぼしながら何かをつぶやいている。
「なんでもないよ恋ちゃん。」
あたしの頬に手を当てて黎泱先輩はあたしを見つめる。
なんかあたしおかしなこと今いったっけ?
あたしは終始戸惑った顔で黎泱先輩を見つめ返す。
「…ほんと昔から何も飾らないんだから…」
「黎泱先輩??」
「よし、じゃあお姫様のご命令に従って律のとこまで連れてってあげよう」
あたしの手を取りゆっくり歩幅を合わせて黎泱先輩は進んでいく。
あったかい…
さっきまで1人で寂しかった道も、黎泱先輩が繋いでくれる手の暖かさと、黎泱先輩の存在の安心感で全く寂しくなくなる。
あたしたちはそのまま律先輩の元へ向かった。