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第11章 嵐の予感

「はぁ…私、律の母親失格ね。」
胡乃さんは寂しげに自嘲した声でそう言う。
「そんなこと！「あるのよ…」
否定しようとしたあたしの声を胡乃さんは遮る。
「あの子が小さい時から、私は家に全然いなかった。ダーリンと海外で仕事をしてあの子を誠司さん達に任せて、」
「胡乃さん…」
「あの子がもう大人になるから…ほんとはあっちに一緒に連れて帰ろうしたの。だったらやっと家族で過ごせるから…」

胡乃さんは前からきっと色々考えていたんだろう。
それできっと今回の行動に至ったんだとあたしは思った。

「でも私たちが放置しすぎたせいで律は…きっと」
そういって胡乃さんは顔を俯けた。

「律先輩…寂しかったんだと思います」