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溶かされてみる?
第11章 嵐の予感
「え…?」
あたしの言葉が意外だったのか、胡乃さんは俯いていた顔を上げあたしを見る。
「りっくん昔からなんとなくですけど、お母さんって存在を羨ましいと思ってたような気がするんです」
あたしたちが幼かった時、
「待ってよりっくん〜」
「恋早く〜!!」
あたしは走るりっくんを追いかけていた。
「わぁっ!!」
ドサァッ!
「あ、恋!!」
「うううう…うああぁん!!」
あたしは派手に転んで膝を擦りむいていた。
「恋!大丈夫か…!」
急いであたしの前を走っていたりっくんはあたしのそばまで駆け寄る。
「まあまあ…またこんなに派手に転んじゃって〜」
「ぐす…ッ…ままぁ…!!」
お母さんがあたしの姿を見て、呆れながらもあたしを抱っこする。
「ほらほら…もう大丈夫よ〜」
泣いてたら可愛い顔が台無しよ〜とお母さんはあたしをあやす。
そんな姿を見て少し寂しそうな、羨ましそうな顔をしてりっくんは見つめる。
「りっくんもありがとうね、恋を心配してくれて。」
それに気づいたお母さんはりっくんの頭を撫でながらそう言う。
「お、俺は別に…!」
少し照れながらも帰る!と言ってりっくんは家へと帰っていった。
今思えば、りっくんは小さい時からお母さんという存在に触れてきてなかったからあの時寂しかったんじゃないのかとあたしは思った。