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溶かされてみる?
第17章 招かれざる男
「自分で招いておきながら、たいした話はできないんだけど…」
環鹿さんは軽く笑いながらあたしに話す。
「いえいえ!!むしろ声かけていただいて助かりました!!」
あのままだったら
あたしこの場をぷらぷらしただけで終わりそうだもんなぁ…
「そりゃよかった!」
笑顔であたしに向かって環鹿さんははにかんだ。
っていうか…そもそもこの人なんの職業の人なんだろ…
「あ…あの…ちなみになんの職業をされているんですか??」
「ん〜作家って言ったらわかるかな?」
「作家…??」
「そうそう!本の!」
「え!すごい!!」
環鹿さん作家さんだったんだ!!
本を書くって…でもすっごい難しそう。
「…逢へる時まで」
不意に環鹿さんはそう呟いた。
ん…??逢へる時まで…?
それどっかで聞いたことあるような…
「…あ!その作品ドラマの!」
思い出した!!あたしが今絶賛ハマってる月9の!!
(純情な恋愛の物語です…)
「お、さすがだね〜〜。そら僕の作品」
ごくごく自然に環鹿さんは笑いながらあたしに言う。
「そうだったんですか?! あたしこのドラマすっごい好きなんです!」
「そう言ってもらえるとすごく嬉しいな」
就職説明会とは思えないほど、世間話になっているあたしたち。
「今週もとおくんと見る約束で!!」
来週の予告見てすごい気になってて仕方ないんだよね!!
「とおくん…?」
少し首を傾げながら環鹿さんはあたしに聞く。
「あ、すいません!ついいつもの癖が出ちゃって!家に一緒に住んでる人なんです!」
「そうなんだ」
「吾妻遠哉さんっていうんですけど、ドラマの話したらいっつもそういうの興味ないくせになんでか食いついてきたんですよね〜」
いきなりどうしたんだってくらいびっくりした顔だったよねそのとき…
と、あたしはその時のことを思い出しながら話す。
「吾妻遠哉?」
さっきまでの明るい雰囲気は消え、凍えるような顔であたしに聞く環鹿さん。
「え…?知ってるんですか?」
「…あぁ、同級生なんだよ」
そう答える環鹿さんはさっきまでの冷たい雰囲気は消え、始めの頃に戻っていた。
「そうだったんですか!すごい偶然ですね」
さっきのは…見間違い??
「ってことは…君が、心愛恋さん??」
「そうですけど…?」