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溶かされてみる?
第17章 招かれざる男
遠哉達が大学の時に遡ります。
基本 遠哉・遥両方sideですが、少し遥よりです。
「遠哉!」
「遥、どうかしましたか」
「お前またテスト首位だったよ!」
「そうだったんですか」
「そうだったんですかって…反応薄いなぁ〜」
あの頃も今も、遠哉は少し冷めているような無関心って言葉がよく似合うやつだった。
「みんな普通なら喜ぶところだよ。本当は」
「遥も喜ぶんですか?」
「僕だったら普通は喜ぶね。まぁそんなとこが遠哉らしいけど」
「はぁ…」
まったくもって喜ぶ場所がわからない。
小さい時から勉強を嫌ってほどさせられてきた。
常に首席を取らないと両親に怒られた。
だから私にとってはそれが普通だと思っていた。
「お前は何でもできるから羨ましいよ」
「何でもはできませんよ。あ…っと次の講義が始まるから」
そう言って遠哉は教室を移動する。
大学に入学して、ずっと遠哉とはいた。
遠哉は前から人を寄せ付けないオーラが出ていた。
面白そうと思って俺が声をかけて、遠哉と話すようになって、そこからは腐れ縁みたいな感じでもうずっと一緒にいた。
あいつはあいつで完璧なようで少し天然で。
そんなとこがまた俺の中で大きな歪みを生んでいた。
「…ほんとうざいぐらい…羨ましいよ」
去っていく遠哉の後ろ姿を見ながら、俺は誰にも聞こえない声でそう呟いた。
遠哉と絡み始めてあいつはずっと友達もいなくて1人で生きてきたのかと思っていたが、幼馴染がどうやらいるらしい。
とは言ってもみんな年下で兄に見たいなものだと言っていたが、その顔はすごく優しげな顔だった。