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溶かされてみる?
第17章 招かれざる男
いつからか遥の様子がおかしいと思い始めていた。
初めは遥に話しかけられて、自分と一緒にいたあいつら以外にも物好きな奴もいるんだと思って話していた。
なんだかんだで一緒にいるようになったが、いつからか遥の雰囲気がおかしくなっていた。
まるで私を蔑むような、憎むようなそんな瞳をしていた。
弁護士の司法試験に受かり、遥に報告した。
まさか遥が落ちているなんて思わなくて、本当にあの時は申し訳ないと思い謝った。
そんな中慰めの会という遥の提案でご飯に食べに行くことになった。
「ほんと遠哉おめでと」
「…ありがとう…」
「そんな湿っぽい顔するなよ。らしくないな」
「いや…でも」
「ほんとお前はすごいよな〜、目の前にある超えられない壁とか感じたことないだろ絶対〜」
「そんなことないですよ」
話をしながらお酒を飲んでいくにつれて、遥はどんどんエスカレートしていく。
「遠哉って大学入った時からさ、いけ好かねえな〜って思ってたよ」
「遥?」
「なんていうかプライド高いのかと思ってたら抜けてるとこあるし、冷たいのかと思ったら優しいし。なんなの」
「何ですか、それは」
話の意図が掴めなくて、私は疑問をはるかにぶつける。
「俺ね。遠哉を見るといっつも惨めな気持ちになった」
遥は怒りを込めた瞳で私を見る。
「手を伸ばしても、全然届かなくてさ。イライラするんだよ」
「はる「俺さ、いつかお前に絶望感みたいなやつ。味わせてやるよ」
その時の遥の笑みは、慢心の笑みだったが、何が裏に薄暗い空気を感じさせるようなそんな笑みだった。
「遥!」
「帰る。お代は払っとくから、じゃあね」
そのまま遥は店の外に出た。
そこから私達は一緒にいることもなくなり、そのまま卒業を迎え大人になってからも会うことはなかった。