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溶かされてみる?
第18章 フクザツな乙女心
「じ…じょー兄…」
ーー
「…恋ッ!!!」
昔を思い出していると、
聞き覚えのある声が耳に飛び込んで来た。
あの頃とおんなじように座り込んで泣いていたあたしは
ゆっくり声のする方へ顔を上げた。
「じょー…兄…」
…昔と一緒。
息を切らしながら、あたしを見つけた瞬間走って来てくれて
「やっと見つけたッ…!!」
そう言って、あたしを包み込んでくれる。
「じょー兄ッ…あたし…」
「よしよし…もう大丈夫だからな」
「…もう…会えないんじゃ…ないかと思った…」
「そんなわけないだろ…どんなに離れても絶対に見つけ出すから」
さっきまで寂しくて悲しくて苦しくて…
1人という孤独感に囚われていたあたしを
彰さんはそんな気持ちごとすっぽりと包み込んでくれて
安心感を与えてくれる…
「寂しかった…」
「うん…ごめんな…」
彰さんはあたしを片手で抱きしめながら、もう片方の手で頭を撫でる。
「昔から変わんないね、じょー兄は…」
「恋の気配はどこにいてもわかるからな」
「くす…っ…なにそれ、超能力でも持ってるの?」
あまりにも彰さんが真顔で答えるから、
ついついあたしは笑ってしまった。
「…恋だけだよ」
「え…?…ンン…ッ」
急にさっきとは違う雰囲気で彰さんはあたしの顔を彰さんの方に手で向かせ、そのまま触れるだけの優しい口づけを落とす。
「じょ…ー兄…」
「涙引っ込んだな」
そ、そそそれは、あなたがいきなりキスなんてするから!!!
「百面相してるぞ、恋」
「だっ誰のせいだと…!!」
「ぷ…」
「じょー兄!!!」
彰さんはあたしの顔を見るなり、お腹を抱えて笑いだして、
最初は怒っていたあたしもつられて気づけば笑っていた。