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溶かされてみる?
第20章 デートという名の争奪戦?
「あ…」
「こんな危ないもの拾って、綺麗なお姉さんが傷ついたらいけないから」
ね?とお得意の天使のスマイルを
ウェイトレスのお姉さんに向けるこうちゃん。
ーこれは…まさか…
「あ、は、は…い」
そんな笑顔を向けられたお姉さんは
こうちゃんを見ながら惚けた顔をしていた。
ーーやはり…犠牲者が…!!
こうちゃんの必殺技…
天使の笑顔のせいで(というかおかげでというか)
新たなる女の人がノックアウトされてしまった。
さすがは、こうちゃん。
女の人の扱いに慣れているというか…
って!…悠長に感心してる場合じゃなかった。
あたしも残された破片を拾おうと床に屈む。
あ、危ない!
お姉さんの足とスレスレの場所に破片が散らばっている。
「お姉さんの足元に破片が!」
「は!す、すすすいません!!!」
あたしの声でお姉さんが慌てて我にかえる。
「もうこれで大丈夫ですよ!って…っつ…」
痛った…、拾い上げたのはいいけど
指先切っちゃった…
まぁ、血もさほど出てないし、大丈夫か!
そう思い破片をゴミ袋に入れたその時ー
「恋ちゃん!!」
こうちゃんがすごい剣幕であたしに迫る。
「え?なに、こうちゃん?」
なんでそんなこわい顔をしているのか分からずに
こうちゃんにあたしは素っ頓狂な声を上げる。
「指見せて。」
「指?あ、ちょっと!こうちゃ!」
あたしの右手首をこうちゃんは掴み、指先を見つめる。
「ほら、やっぱり!人差し指切れてる」
「このくらい大丈夫だって〜!ただのかすり傷だし!」
「大丈夫ですか!?!本当に申し訳ありません!」
「いやいや〜むしろお姉さんに怪我なくてよかったですよ〜!そもそもお姉さんが皿落としたのも、あたしたちが悪いですし…」
公衆の面前であたしたちはなにをやって…
思い出すだけで恥ずかしいような、申し訳ないような…
「恋ちゃん消毒」
「大丈夫だって、こうちゃん!」
「すぐお持ちします!」
「あ…そんなお構いなく!!」
こうちゃんの怖い剣幕に怯えたお姉さんは、
救急箱を取りに店の奥に行ってしまった。