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溶かされてみる?
第20章 デートという名の争奪戦?
「…」
急にそっぽを向いて黙り出すいっくん。
「…ま、まさか…」
「いない、初めからいなかった。」
「な…っ!」
あれだけ探していないのもおかしいなって思ってたけど
まさか本当にいなかったとは…!!
唖然としながらも、勝手に自己解決するあたし。
「じゃあここにいったって探したところは…」
「ごめん、なさい…」
「郁!!ったくお前は!!」
全部のネタがバレてしまって、
目の前でしょんぼりするいっくん。
「…探したところって本当はいっくんが行きたかったところなの??」
「え…?」
「行った時、やたらと遊んでたのはそのせいか〜!!」
あたしは顔を上げてキョトンとするいっくんの頭を撫でる。
「恋??なんで…」
「いっくん、我慢してたんでしょう?行きたいの」
「…!!」
「お母さん、今日来られなかったの??」
「…急に用事が入ったからって…」
「そっかぁ…お母さんの前では耐えてたんだね!えらい!!」
あたしはゆっくりいっくんを抱きしめてあげる。
「今日は途中からだったけど楽しめた??」
「う…ん、楽しかった…」
今にも泣きそうな声で、いっくんもあたしを抱きしめる。
「でもね、いっくん。やっぱり急に出てきたらお母さんもお父さんも心配しちゃうから、我慢したのはえらいけど、ちゃんとでてくるときは誰かに言うかついて来てもらうかしなきゃダメだよ?」
「うん。ごめんなさい…」
「よし、わかったならいいんだよ」
いっくんに優しくいうと、ぐすぐすといっくんは泣き始めた。
「郁…」
「暁翔さんも!」
「え?」
「頭ごなしにいっくんに怒っちゃダメ!」
「え、あぁ…悪い。」
素直に謝る暁翔さんがおかしくて、あたしは笑ってしまった。
「ふふ…謝るのはあたしじゃなくていっくんですよ」
「そうだな」
あたしたちは2人とも笑いあい、
いっくんが泣き止むのを、そばで見守った。