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わが不滅の恋人 ―永遠に秘密の恋―
第2章 Ich liebe dich (我、汝を愛す)
「久しぶりだね。二十年ぶりになるのかな」
男としては高い、カストラート特有の声でフランツはルートヴィヒに握手を求めた。淡い金の髪、鮮やかな青い瞳も少年時代と変わらない。握った手は温かく、そして柔らかかった。
「そうだな。それにしても、いつの間にか君はオペラのヒロインを張るような歌い手になっていたんだなあ」
「ふふふ。ルートヴィヒこそすっかり売れっ子になって」
先日、今夜の「リナルド」と同じブルク劇場で交響曲第一番の初演を行ったばかりだった。
「この前の公演、僕も聴いていたんだよ? 君は客席の僕に全然気づいていなかったけどね」
「ゴメン」
ルートヴィヒは黒髪をガリガリとかいた。演奏会を成功させることに心奪われ、客席を気にする余裕はあの時のルートヴィヒにはなかった。
「フランツ」
ルートヴィヒは改まって幼馴染みの名を呼んだ。
「うん? 改まってどうしたの?」
フランツは子供っぽい仕草で首を傾げた。ルートヴィヒはフランツの華奢な身体を抱き締める。華奢に見えたフランツだが、身長はルートヴィヒよりも随分と高かった。
「この二十年、君のことが頭から離れたことはなかった。僕は君を愛している」
「……僕もだよ」
二人は自然と唇を重ねた。ルートヴィヒはそのままフランツをベッドに誘ったが、フランツはルートヴィヒの誘いを突っぱねた。
男としては高い、カストラート特有の声でフランツはルートヴィヒに握手を求めた。淡い金の髪、鮮やかな青い瞳も少年時代と変わらない。握った手は温かく、そして柔らかかった。
「そうだな。それにしても、いつの間にか君はオペラのヒロインを張るような歌い手になっていたんだなあ」
「ふふふ。ルートヴィヒこそすっかり売れっ子になって」
先日、今夜の「リナルド」と同じブルク劇場で交響曲第一番の初演を行ったばかりだった。
「この前の公演、僕も聴いていたんだよ? 君は客席の僕に全然気づいていなかったけどね」
「ゴメン」
ルートヴィヒは黒髪をガリガリとかいた。演奏会を成功させることに心奪われ、客席を気にする余裕はあの時のルートヴィヒにはなかった。
「フランツ」
ルートヴィヒは改まって幼馴染みの名を呼んだ。
「うん? 改まってどうしたの?」
フランツは子供っぽい仕草で首を傾げた。ルートヴィヒはフランツの華奢な身体を抱き締める。華奢に見えたフランツだが、身長はルートヴィヒよりも随分と高かった。
「この二十年、君のことが頭から離れたことはなかった。僕は君を愛している」
「……僕もだよ」
二人は自然と唇を重ねた。ルートヴィヒはそのままフランツをベッドに誘ったが、フランツはルートヴィヒの誘いを突っぱねた。