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わが不滅の恋人 ―永遠に秘密の恋―
第2章 Ich liebe dich (我、汝を愛す)
オペラ「リナルド」は順調に進んでゆく。フランツの色白で華奢な容姿は、アルミレーナ姫という役柄にピタリとはまっている。
やがてこのオペラ最大の見せ場、第二幕で囚われのアルミレーナ姫がアリア「私を泣かせてください」を歌う場面になった。
ゆったりとしたサラバンドのリズムに乗って、どこまでも甘美な旋律がフランツから迸る。あの頃聴いたボーイソプラノはそのままに、フランツは大人の歌手としての高度な技量を身に付けていた。
その時、舞台上のフランツと目が合った。気のせいかと思ったが、フランツの視線はまっすぐにルートヴィヒを見つめたまま離れない。フランツはまるでルートヴィヒに歌で語り掛けるかのようにアリアを歌っていた。
アリアが終わるとホール内に拍手の洪水が起きた。アンコールを求めいつまでも鳴り止まない拍手に、フランツはにこやかに応じて再度歌い出す。一度目とは音の装飾を変えた巧みな歌唱に、フランツはアリアを三度も歌う羽目になった。
オペラの終演後、ルートヴィヒはフランツの宿泊するホテルの一室にいた。どうやら知人はフランツとルートヴィヒが幼馴染みであることを知り、ルートヴィヒをオペラに連れ出したらしかった。
フランツは昔と変わらない屈託のない笑みを、ルートヴィヒに向けた。
やがてこのオペラ最大の見せ場、第二幕で囚われのアルミレーナ姫がアリア「私を泣かせてください」を歌う場面になった。
ゆったりとしたサラバンドのリズムに乗って、どこまでも甘美な旋律がフランツから迸る。あの頃聴いたボーイソプラノはそのままに、フランツは大人の歌手としての高度な技量を身に付けていた。
その時、舞台上のフランツと目が合った。気のせいかと思ったが、フランツの視線はまっすぐにルートヴィヒを見つめたまま離れない。フランツはまるでルートヴィヒに歌で語り掛けるかのようにアリアを歌っていた。
アリアが終わるとホール内に拍手の洪水が起きた。アンコールを求めいつまでも鳴り止まない拍手に、フランツはにこやかに応じて再度歌い出す。一度目とは音の装飾を変えた巧みな歌唱に、フランツはアリアを三度も歌う羽目になった。
オペラの終演後、ルートヴィヒはフランツの宿泊するホテルの一室にいた。どうやら知人はフランツとルートヴィヒが幼馴染みであることを知り、ルートヴィヒをオペラに連れ出したらしかった。
フランツは昔と変わらない屈託のない笑みを、ルートヴィヒに向けた。