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わが不滅の恋人 ―永遠に秘密の恋―
第1章 幼き恋心
「どうする、フランツ?」
黒髪の少年が隣を歩く金髪の少年の目を覗き込んだ。けぶるような淡い金の髪に鮮やかな青い瞳の少年、フランツは少女めいた華奢な印象の美少年だ。
「僕はやるよ。うちは家計が苦しいからね。僕が稼がないと。両親もきっとそれを望んでる。ルートヴィヒはどうするの?」
「僕のところは無理だな。父さんがカストラートを毛嫌いしているからね」
「お父さんって歌手だったっけ?」
「そう、宮廷付きのテノール歌手だよ。カストラートとは仕事でたまに一緒になるらしくて『あいつらときたら金のことと目立つことしか頭にない連中だ』って、いつも文句タラタラなんだ」
「あはは、そうなんだ? でも君には一流のピアノの腕もあるし、わざわざカストラートになんかなる必要はないよね」
フランツは屈託なく笑ってルートヴィヒの肩を抱く。
ルートヴィヒは齢八歳にして既にケルンへ演奏旅行に出かけるほどのピアノの才能を有していた。フランツほどの美少年ではないが、黒髪と生気に満ちた強い眼差しが見る者を虜にする。
「うーん。その話は置いといて、とりあえずお昼を食べにいかない?」
「いいよ。……君はまた魚?」
「もちろん!」
「やれやれ。そのうち君の顔を見ただけで魚料理が出てくるようになるよ」
「もうなってるさ」
ルートヴィヒは肩を竦めておどけた。ルートヴィヒは魚料理が大好物で料理店で頼むメニューはほぼ毎回同じ魚料理だった。
二人は賑やかに話しながら、料理店の扉を開けた。
黒髪の少年が隣を歩く金髪の少年の目を覗き込んだ。けぶるような淡い金の髪に鮮やかな青い瞳の少年、フランツは少女めいた華奢な印象の美少年だ。
「僕はやるよ。うちは家計が苦しいからね。僕が稼がないと。両親もきっとそれを望んでる。ルートヴィヒはどうするの?」
「僕のところは無理だな。父さんがカストラートを毛嫌いしているからね」
「お父さんって歌手だったっけ?」
「そう、宮廷付きのテノール歌手だよ。カストラートとは仕事でたまに一緒になるらしくて『あいつらときたら金のことと目立つことしか頭にない連中だ』って、いつも文句タラタラなんだ」
「あはは、そうなんだ? でも君には一流のピアノの腕もあるし、わざわざカストラートになんかなる必要はないよね」
フランツは屈託なく笑ってルートヴィヒの肩を抱く。
ルートヴィヒは齢八歳にして既にケルンへ演奏旅行に出かけるほどのピアノの才能を有していた。フランツほどの美少年ではないが、黒髪と生気に満ちた強い眼差しが見る者を虜にする。
「うーん。その話は置いといて、とりあえずお昼を食べにいかない?」
「いいよ。……君はまた魚?」
「もちろん!」
「やれやれ。そのうち君の顔を見ただけで魚料理が出てくるようになるよ」
「もうなってるさ」
ルートヴィヒは肩を竦めておどけた。ルートヴィヒは魚料理が大好物で料理店で頼むメニューはほぼ毎回同じ魚料理だった。
二人は賑やかに話しながら、料理店の扉を開けた。