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奴隷メイドオークション ~正しいメイドの育て方~ 改訂版
第1章 オークションとご主人様
示された隅の狭いクローゼットに入っていたのは、掃除道具だけ。
今まで、家の掃除などしたことがない。やはりメイドがしてくれていた。学校には業者が入っていて、全てやってくれる。掃除など、お嬢様は覚えなくてもいい事だから。
「まずは、ハタキを掛けて。脚立もあるだろう?」
「はい……」
やったことは無くても、やり方くらいは知っている。それだけは家庭科の授業で習うが、誰も興味はないしテストにも出ない。
出した脚立の脚を広げて登ろうとすると、ご主人様が慌てて駆け寄ってきた。
「ここをちゃんと留めないと」
脚立の両側の留め具をセットしてくれる。
脚立は階段のような造りで、登りやすそうなもの。これなら怖くない。
「世間知らずのお嬢様じゃ、しょうがないか」
「あの……。私のことを、知ってるんですか?」
目を見つめて訊いた。
「やっぱりそうだよね? オークションに出てた中で、お嬢様は美桜を入れて2、3人かな。顔付きや仕草を見れば、大体解るよ」
何故か、ホッとした気持ち。鷹城不動産の倒産はマスコミでも取り上げられ、その娘という立場はつらかった。学校へ行っても、友達の態度は急変。もうお嬢様ではないクラスメイトとは付き合いたくないと、本当のお嬢様達は考える。恥ずかしいことに、私も以前はそうだった。
だがどうせ、あの高校に通い続ける学費は高額すぎて払えない。良くて他の安い高校へ編入するか、高校を辞めて働くしかないと思っていた。
「じゃあ、頑張って」
壁際の大きなベッドに寝転がるご主人様を見て、少し首を傾げる。
「埃が舞いますよ? 部屋から、出てた方がいいんじゃないですか?」
以前自分の部屋は、学校に行っている間に掃除をしてもらっていた。
「大丈夫。気にしないで」
「はい……」
ご主人様がそう言うならいいだろう。
ハタキを手に脚立に足を掛け、自分が下着を着けていない事を思い出す。
「え……。登ったら、下から……」
「お仕事だよ? 早く登って?」
溜息をついたが、今はご主人様の言うことを聞くしかない。仕方なく、私は脚立を登った。
「いい眺めだよ」
ワンピースは膝上だし、少しだけ膨らんだ作り。離れていても、ベッドに寝ているご主人様から、スカートの中が見えるだろう。