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ロリちゃん作品集 (一章読み切り式)
第16章  ロリちゃんが来ちゃった

 馬車に乗り込んだユナに、俺はこっそりと1万円札を渡す。
「お兄ちゃん……。こんなに……」
 ここでの価値にすれば、100万円。
「家族には、王族に連れて行かれて、仕事をしてきたって言いなよ」
 男に聞こえないように耳元で言った。
「ありがとう……」
 ユナの顔に笑顔はない。
「出してくれ」
 俺はドアを閉め、男に言う。
 男が馬にムチを使い、馬車が走り出す。
「お兄ちゃーん」
 窓から身を乗り出して手を振るユナを、俺は笑顔で見送った。
 走り去っていく馬車が見えなくなると、女性が声をかけて来る。
「どうぞ。この村の温泉の地図です」
 この2日間はハードだった。温泉でゆっくりするのも、いいかもしれない。
 もう夜だ。俺は取り敢えず一番安く泊まれる宿屋を訊き、そこへ向かった。
 別れたロリちゃんのことは、思い出さない。俺が勝手に決めたこと。そうじゃないと、毎回違う世界へ着く度に空しくなってしまう。
 宿は80円と安く、俺は狭い部屋のベッドに寝ころんだ。
 ユナのことを忘れようとすると、今までのロリちゃん達とのことが蘇ってくる。
 ひとりひとりとのことを思い出しながら、俺は眠りについていた。



 おわり


 「2」へつづく


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