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ロリちゃん作品集 (一章読み切り式)
第28章 現実
俺も幸せになりたい。
前回マリアとリリアの件があってから、そう考えるようになってしまった。
でも、俺には無理だろう。
何もかも、平均的だと思っている。イケメンでもないし、高身長でもない。収入など、1人だから少しずつ貯金が出来るくらい。
ベッドに横たわり溜息をついた時、玄関のチャイムが鳴った。
訪ねてくるような友達はいない。付き合いは、ネットの中の野郎だけ。
「はい?」
「書留です。印鑑かサインを」
その場でサインをして、郵便物を受け取った。
書留など、何も覚えは無い。間違いかと思ったが、名前も住所も俺のものだ。
封を切り、その場で固まってしまった。
当たった!
一応応募しておいた、アイドルグループ『エンジェル』のチケット。それも、一番前の特別限定席。
最近メジャーデビューをし人気が出て、普段でもチケットが取りづらい。
このグループは、短い衣装に生パンに近いような見せパン。それが話題になったのも大きい。
推しは、去年加入した13歳の瀬戸由麻菜(せとゆまな)。加入してすぐに凄い人気で、アルバムではセンター曲もある。
由麻菜は、俺好みのロリちゃん風。体は細いが頬だけは少しぷっくらしていて、大きな目に長いまつ毛。長い黒髪も堪らなく、実際の13歳より幼く見える。
驚きが強くて、「やったー!」という声も出なかった。
開催は、今週の土曜日。ロリちゃんの世界に行っている場合じゃない。
憧れの由麻菜に会える。特別限定席は10席しかなく、ライブの後に個室で、指名したコと10分も話せる特典付き。警備員はいるだろうが、それでも2人切りのようなもんだ。
思ってもいなかった朗報に、俺は土曜日までを楽しく過ごす事が出来た。
いざとなると緊張する。
特別限定席は思っていた以上にステージに近く、お互いが手を伸ばせば届きそうな距離。それに俺の指定番号は、ステージの中央前。
本当はお菓子をたくさん買い、数十口応募しなければ当たらない。俺が出したのは、一口だけだった。勿論そのお菓子のCMには、エンジェルが出ている。
ステージが始まり、いよいよ由麻菜のセンター曲。一所懸命サイリウムやウチワを振ると、由麻菜がニッコリと微笑んでくれた。