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ロリちゃん作品集 (一章読み切り式)
第30章 麻菜ちゃん。五年生
トトト、と階段を駆け上がって来る足音。
俺は大学の講義が休講のため、部屋でゼミのレポートをやっていた手を止めた。
「お兄ちゃーん!」
いきなりドアを開けて入ってきたのは、隣に住む麻菜。
麻菜は小学5年生になった5月生まれの11歳。小学校は今夏休み。
10歳違いの俺は、麻菜が産まれた時から知っている。
産まれた直後から近所でも評判の可愛さ。大きくぱっちりとした二重、筋の通った小振りな鼻に、ぷっくりとした形のいい唇。
誰もが、「将来美人になる」と本気で褒めていたほどだ。勿論今だって可愛い。
髪が伸びてから変わらないツインテールが、よく似合っている。夏らしいブルーのTシャツに白いジーンズ素材のミニのタイトスカートも、麻菜の可愛さを引き立てていた。
産まれた時から小さくて、それは今も変わらないまま成長。麻菜本人が、「今年は一番前じゃなかった!」と、学年が上がる度に一喜一憂。
「おばさんが、夜まで出掛けるから、留守番よろしくだって」
下で言付かってきたのを話すと、麻菜が首に手を回し、俺の背中にしがみついてくる。
「……ねえ、お兄ちゃん。彼女出来たの?」
「ん?」
全く身に覚えがない問いに、俺は振り返った。
「だって麻菜、見たんだもん!」
そう言うと、麻菜が部屋の中央で仁王立ちになる。
形は“仁王立ち”でも、麻菜がやるとなぜか可愛らしいから不思議だ。
「麻菜、見たもん。昨日、お兄ちゃんと彼女がこの家に入って行くとこ」
昨日来たのは、同じゼミでチームを組んでやるレポートの仲間。たまたま彼女だけ予定が無く、ここで打ち合わせをしただけ。いい子だが、正直真面目過ぎて、異性としては俺の好みじゃ無い。
「違うよ。あの子とは、一緒に勉強してただけだよ」
ゼミやレポートなんて話をしても、小学生の麻菜には難しいだろう。
「麻菜が……。麻菜が、お兄ちゃんの彼女じゃないの?」
近付かれ、返す言葉が見つからない。
「彼女にしてくれるって言ったでしょ? 1年生の時に……」
麻菜は幼稚園の頃から「お兄ちゃんのお嫁さんになる」と言っていたから、1年生の時につい、「彼女にしてあげる」と言ってしまった。