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ロリちゃん作品集 (一章読み切り式)
第33章 お熱があるの
俺が大学へ行く準備をしていると、母親が階段を上がって来る足音がして、ドアを足でノックするような音。
こんなことは初めてだ。
「早く開けて」
急いでドアを開けると、麻菜を抱きかかえた母親が入ってくる。
「すぐ布団敷いて。来客用のがあるでしょう?」
何だか解らないが、俺は急いで布団を敷いた。
母親が、そこへ麻菜を寝かせる。
トレードマークのツインテールも、今日はしていない。
麻菜は隣に住む、俺の10歳下の恋人。勿論そのことは、誰にも内緒だが。
5年生にしては小柄で、体も細め。でも、頬だけは少しぷっくらとしていて可愛い。
大きな目と形のいい唇をしていて、正に美少女。
「どうしたの?」
「熱を出して、今は薬で寝てるのよ」
母親がエプロンのポケットに入れていた、熱取り用のシートを麻菜のおでこに貼る。
「よろしくね。お母さんは今日、早番なの」
「えー。俺これから大学なんだけど」
「あなたしかいないのよ。隣の奥さんも今日は仕事を休めないし、ご主人はずっと海外出張なのは、知ってるでしょう?」
麻菜の父親は、ここ数年海外出張のまま。母親は大手会社に勤めていて、役職についているらしい。それに俺の母親は看護師。父親はもう会社に出勤しただろう。
「下におかゆと薬を用意してあるから。よろしくね」
母親は急いで出て行ってしまった。
今日の教授は、出席に煩くない。試験さえクリアすれば大丈夫。
「麻菜? 大丈夫か?」
「……ん」
まだ目を閉じたまま。
俺は部屋着に着替えてから、麻菜の横に座った。
少しして、麻菜がパッチリと目を開ける。
「麻菜?」
「おばさん、もう行った?」
ハッキリとした口調。
「行ったんじゃないかな。早番なら」
その言葉を聞いた麻菜が起き上がり、大きく伸びをする。
「あー、疲れたぁ。ずっと寝てる振りしてたから」
「麻菜! お前なあ……。仮病か?」
「熱は7度2分あるよ。だって今日、遠足なんだもん」
溜息しか出ない。
「遠足って、山登りなんだよぉ。メンドクサイもん」
最近の小学生は、遠足も楽しみじゃないのか。
麻菜が布団から出て、俺のベッドに座る。
「それにお兄ちゃん、最近冷たいんだもん」
「えっ?」
冷たくした覚えなんてない。