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ロリちゃん作品集 (一章読み切り式)
第40章  01 初めての世界


「かしこまりました。どのような子を、お付け致しましょうか」
「わ、若い子を……」
 思い切って言ってしまった。
「少々お待ちください」
 黒服が行ってしまうと、すぐに別の黒服がボトルなどを持ってくる。水割りを作り、頭を下げて行ってしまう。
 100分の1。さっき俺が見せた一万円は、100万円の価値だ。
 それは驚くだろう。
 ここでは、100万円札。そんな物、存在しないのに。
 「アスカさんです」
 最初の黒服が連れて来たのは、可愛らしいロリちゃん。
「アスカです。よろしくお願いします」
 小柄で色白。黒髪は背中まである。口角の上がった唇に、大きな黒目。ノースリーブのドレスから出ている、細い腕。それなのに頬はぷっくらとしていて、指で突つきたいくらい。
 看板に偽りなし。でもこのコなら、本当は20歳でもいい。
「失礼します」
 隣に座って来ると、いい香りがする。そんな香水なのか、石鹸の香り。
 黒服が戻ると、「どうぞ」と開いたメニューを差し出された。
 食事なども、100分の1なのだろう。5円や8円。高くても、フルーツ盛り合わせの150円だった。
「あ、アスカちゃんは、いくつ?」
「12歳です」
 確かに、それくらいにしか見えない。
「12歳で、こんな仕事していいの?」
「はい。10歳から、好きな仕事をしていいんですよ?」
 ここは天国だ。
 あの黒いシミへ入れば、いつでもここへ来られる。常連になってしまいそうだ。
「わあ。凄おーい」
 アスカが、俺の股間に顔を近付ける。
「えっ?」
「これが、お国の紋章ですか?」
 アスカが見ていたのは、ジーンズのボタン。刻印のようなものは入っているが、量販店で買った安物だ。
「ごめんなさい。いきなり……」
「い、いいんだよ……」
「あの。お名前は?」
 少し考えた。
「お兄ちゃんて、呼んで? 敬語も、使わないで?」
「うん。お兄ちゃん」
 夢みたいだ。夢なら、ずっと覚めないで欲しい。でもこの世界へ来れば、いつでもアスカに会える。
「あ、好きな物、何でも頼んで?」


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