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ロリちゃん作品集 (一章読み切り式)
第40章 01 初めての世界
「ウチは豪遊しても、たった数千円ですからね。王族の方にはお安いでしょう。さあ、どうぞ」
男に背中を押され、店内に入れられてしまった。
「いらっしゃいませー。あ……」
中の黒服が、驚いた顔をしている。
「これは、これは。いらっしゃいませ」
店内はやたらとピンク色。フリルやレースも使っていた。
あまりにも安すぎるのは、やはりおかしい。
「あの……。これ、使えますか?」
鞄から財布を出し、一万円札を見せた。
もしかしたら“円”とは言っても、ここだけの通貨があるのかもしれない。一万円で100円の価値しかないとか。
「は、はい。充分でございます。どうぞ。ご案内します」
何だか、黒服は驚いている。
充分と言っていたし、キャバクラなら数万だろう。給料日くらい、自分への褒美をあげてもいい。
「どうぞ、こちらへ」
案内されたのは、キャバクラによくあるボックス席。
だが、座りながら俺も驚いていた。他の席に座っていたり、すれ違ったコはみんなロリちゃん。
普通の呑み屋街にあり、隠れて営業しているわけじゃない。堂々と写真を出し、呼び込みもコソコソしていなかった。
「ボトルは、いかがいたしましょうか」
差し出されたメニューを見て、また驚く。入場料は100円でも、ボトルなどで高く取るのかと思っていたから。
一番高いボトルでも、200円。
「これ、ボトルの値段? 一杯じゃなくて?」
一杯でも、こんな所じゃジュースさえ頼めない。
「はい。ボトル一本のお値段です。王族の方は、やはり金銭感覚が違いますね」
黒服が、“王族”から後は小声で言う。
さっき見た店では、豚肉100gが1円。高価そうなネックレスが、千円くらいで売られていた店もあった。そして、入場料は100円。呼び込みの男も、「豪遊しても数千円」だと。
100分の1……? この街では、物価が現代日本の100分の1なんだ。
第一ここへは、クローゼットのシミから入って来た。
異次元? 異世界? よく分からないが、そういった類なのだろう。
「じゃあ、一番高いのを」