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ロリちゃん作品集 (一章読み切り式)
第43章 04 城下街
せっかくの週末が来たのに、今週は毎日残業で疲れ切っていた。
どうせあの世界から戻れば、行った時と同じ時間。
そう考え、出発を土曜の昼間にした。
先週の日曜に頼んでおいた“大人のオモチャ”も届いている。100均に行って、可愛い小物もいくつか買った。
何となく疲れが抜けなくても、ロリちゃんが俺を待っている!
実際は違ってもそう思い、準備をして黒いシミへ入った。
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
座っているのは草原。
後ろにはドアだけ。
夜も近い時間らしく、薄っすらと星が見えている。
少し離れた所にある街の中央に、高い塔が建っていた。
まるで、RPGに出てくる城の塔のよう。
いつも俺は、王族扱いされる。本当の王族に会ったら、どうしようかと考えた。
でも俺は今まで、大っぴらに王族だと言ったことはない。相手が勝手に勘違いしているだけ。
出直そうか迷ったが、本物の城に興味もあり行ってみることにした。
街は広く、今までで一番賑わっている。
色々な店があったが、モンスターは出ないのか武器屋などは無かった。
果物屋には、見たことのない果物ばかり。
唯一名前を覚えたのは、ロリちゃんが飲むガバクジュース。その“ガバク”はどれだろうと見ていると、店主の大声。
「こらっ! 何してるんだ!」
横にいたのは、フード付きのケープを被った少女。その下のワンピースも、この街で一般的なもの。
でもフードから覗くのは、大きな瞳。細身だが頬はぷっくりしていて、店にいたら指名したいタイプだ。
「ごめんなさい……」
少女が触っていたのは、売り物のブドウ。粒が大きくて、美味しそうな物だった。
「一緒に来い。牢屋に叩き込んでもらう」
「いやっ」
店主に腕を掴まれ少女は抵抗しているが、どこかへ連れて行かれそうになる。
「ちょっと待ってよ。俺が払うから」
見るに見かねて言ってしまった。
彼女は触っていただけだが、“牢屋”と聞いてRPGの粗末な物が思い浮かんだ。
「え? あっ。これは、これは。王族の方でしたか」