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悠一郎の独り言
第21章 2017年12月05日(火)00:42
「お姉さん、屋台初めてなんやって?どうね?初めての屋台は?」

沙羅さんの横に座っていた年配の男性が話しかけてきます。

「楽しいですね。」

にっこり笑って相手をする沙羅さんに気をよくしたのか、その男性は沙羅さんに熱燗をおごりました。
これも良くある風景ですね。
初めてあったのに女性の客にお酒をおごる。
それでも一緒にいる私に軽く会釈をして断りを入れてくれます。
そうして飲んでいると、満員なのに2人のお客さんがきました。
もう入れないかと思っても、全員が少しずつ詰めて入ってしまいました。
それによって、私は沙羅さんとぴったりとくっつきます。
こんなに近いのは初めてで、ドキドキが止まりません。

「さすがに…これ以上は多くなりませんよね」

沙羅さんが苦笑しながら聞いてきましたので

「そうですね…次、誰か来られたら出ましょうか」

そう言うと、沙羅さんは「はい」と返事をしてお酒を飲み始めました。
どのくらい飲んだでしょうね。
沙羅さんもお酒が好きなようで熱燗をおいしそうに飲んでいました。
屋台に来てから1時間ちょっと
新しいお客さんがきたので私たちは出ることにしました。
お金を払おうとする沙羅さんの手を止めて私が払おうとすると困った顔をするのです。
そんなにたいしたお金でもないのに…と思いながら、そんな沙羅さんも素敵だと思ったんです。

「次は私が払いますね」

ということで話は落ち着き、ほろ酔い気分で街中を歩きながら帰ることにしました。
駅の裏にある公園はライトアップしてあって、そこを見て帰ることに。
カップルで溢れかえっている中を恥ずかしく思いながら歩きました。
それでもライトアップに感動する沙羅さんを見て少し心が温かくなります。
見惚れてる沙羅さんの横に立っていると、洋服に違和感を感じて見てみると、沙羅さんが私の袖口を握り締めていました。
そして沙羅さんを見ると、沙羅さんは私を見ていました。

「きれいですね」

と、なんでもないように笑顔で言うんです。
これは何なのでしょうか?
この後、私はどうすれば正解だったのでしょうか?
何も言えずに黙って俯くと、それ以上会話は続きませんでした。
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