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淫らに甘えて濡れ咲いて
第2章 第一章 政略結婚
気高い山脈の間に位置する、緑豊かな小国ペリューシャは雪が溶け山向こうよりも遅い春が訪れていた。
ペリューシャは山脈に囲まれているために、冬が長い。それ故に雪に覆われ、昼の短いこの国の人々は春を待ち遠しくしているのだ。
冬の間は、雪の下で寒さに強い野菜を育てる。ここで取れる作物は皆、栄養満点で名産品も多い。特に、山向こうの市場では高値で取引されているらしいが、この国の人々にしてみればいつでも食べられるものだけにその実感がないらしい。
春になると、放牧が始まる。豊かな大地に生える雑草を豚や羊や牛が食べ、また丸々と太る。この地は、神に恵まれた小さな国なのだ。
その国に、東の隣国ウェトーから使者がやってきたのは一週間前の事だった。
北の山脈側の国、ネルヴァンの国が戦を企てているらしいという報告だった。その相手はここペリューシャを挟んで南のロランという砂漠の国だという。事の発端は、どうやら王族の後継争いに乗じて植民地にするというネルヴァンの策略とのこと。
そして、最悪の事態は、ペリューシャを経由地点として軍の途中休息の地にするため近々大軍がやってくるというのだ。
戦とは無縁のこの国は、どの世でも中立を保ってきた。それは、ここの山脈にある神々の山の信仰のおかげもある。だが、今のネルヴァンの王は信仰よりも己の国の繁栄に忙しい。神など後々どうとでも拝んでやるという心構えでいるという噂は良く耳にしていた。
平和慣れし過ぎたペリューシャの王は青白い顔のまま隣に同じく青白い顔で座る王妃の手を握って、ウェトーの使者の話を聞いていた。
その少し後方に座っている二人の女性。
一人はふんわりとした金髪に美しいアメジストの瞳のとても愛らしい女性だ。
もう一人はストンと真下に降りた薄い紫がかった銀髪と冷たい氷のようなアイスブルーの瞳に目尻が上がった猫のような目をした女性だ。
金髪の方は第一皇女のカレンドゥラ、銀髪の方は第二皇女のリーリアム。
二人は誰が見ても対照的な姉妹だった。
姉のカレンドゥラはおっとりとしていて朗らかに明るい笑顔の多い可愛らしい姫だが、妹のリーリアムはあまり表情を崩さない。スッとつり上がったアーモンド型の目が優しく弧を描く事はほぼない。
何事もテキパキとこなす彼女は姉よりも姉らしい妹だ。
ペリューシャは山脈に囲まれているために、冬が長い。それ故に雪に覆われ、昼の短いこの国の人々は春を待ち遠しくしているのだ。
冬の間は、雪の下で寒さに強い野菜を育てる。ここで取れる作物は皆、栄養満点で名産品も多い。特に、山向こうの市場では高値で取引されているらしいが、この国の人々にしてみればいつでも食べられるものだけにその実感がないらしい。
春になると、放牧が始まる。豊かな大地に生える雑草を豚や羊や牛が食べ、また丸々と太る。この地は、神に恵まれた小さな国なのだ。
その国に、東の隣国ウェトーから使者がやってきたのは一週間前の事だった。
北の山脈側の国、ネルヴァンの国が戦を企てているらしいという報告だった。その相手はここペリューシャを挟んで南のロランという砂漠の国だという。事の発端は、どうやら王族の後継争いに乗じて植民地にするというネルヴァンの策略とのこと。
そして、最悪の事態は、ペリューシャを経由地点として軍の途中休息の地にするため近々大軍がやってくるというのだ。
戦とは無縁のこの国は、どの世でも中立を保ってきた。それは、ここの山脈にある神々の山の信仰のおかげもある。だが、今のネルヴァンの王は信仰よりも己の国の繁栄に忙しい。神など後々どうとでも拝んでやるという心構えでいるという噂は良く耳にしていた。
平和慣れし過ぎたペリューシャの王は青白い顔のまま隣に同じく青白い顔で座る王妃の手を握って、ウェトーの使者の話を聞いていた。
その少し後方に座っている二人の女性。
一人はふんわりとした金髪に美しいアメジストの瞳のとても愛らしい女性だ。
もう一人はストンと真下に降りた薄い紫がかった銀髪と冷たい氷のようなアイスブルーの瞳に目尻が上がった猫のような目をした女性だ。
金髪の方は第一皇女のカレンドゥラ、銀髪の方は第二皇女のリーリアム。
二人は誰が見ても対照的な姉妹だった。
姉のカレンドゥラはおっとりとしていて朗らかに明るい笑顔の多い可愛らしい姫だが、妹のリーリアムはあまり表情を崩さない。スッとつり上がったアーモンド型の目が優しく弧を描く事はほぼない。
何事もテキパキとこなす彼女は姉よりも姉らしい妹だ。