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さらに近くてもっと甘い
第9章 プール大会?



ワイシャツの袖のボタンを外し、腕を巻くっている光瑠を見て、要はニヤリと笑う。



そんな部下に構わず、光瑠はプールサイドに顔を向けた。




「真希……」



「はい…?」




静かに光瑠に声を掛けられた真希が首を傾げる。


濡れてさらに癖がかっている明るい茶髪。


それを光瑠はかきあげて、妻を見つめる。




「しっかりと見ておけ」


「……は…い…?」



訳が分からないとばかりの真希から、今度は加奈子へと視線を移す。



「それから、ドジ女」


「えっ…あっ…」


「お前は関根を慰める準備をしておけ」


「へ…?慰める…?」


「もしかしたら泣き出すかもしれない。そしたら胸を貸してや──」


「──その必要はありませんね」





背後から、要が光瑠の言葉を阻む。




「そして…彼女の名前は加奈子です」




鼻で笑いながら振り返った光瑠は、プールの一番端へと向かう。要も加奈子にニコリと微笑んで、光瑠と同じようにプールの端に向かった。




「隼人ー」


「なに?かなめー」


「掛け声、頼んでいいか?」


「かけごえ?」


「うん、ヨーイドンって」


「わかったー」




素直な隼人に微笑み返した要は、スッと真剣な顔に戻る。





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