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【R-34】
第4章 美しい妻
泣くのはずるいと知っていながらも、どうしても抑えられない。

真奈は圭吾が欲しかった。



彼を手に入れるための武器となるなら、今なら何でも使ってしまいそうだった。


ふうっと、彼が一つため息を吐く。

『分かった。俺の事……選んでくれるなら、後悔させないよう努めるよ』


その、はにかんだ笑顔に真奈は再びキスをせがんだ。

『……私、今日からはあなたのために生きていきたいです』



両親を亡くしたばかりで弱った心に灯った光。

それが自分なのかと圭吾の胸が熱くなる。


『それなら俺も……大好きな君の願いを一つでも多く叶えられるように努力していくよ』



夜の海辺で交わしたキス。

そのキスがあまりに情熱的で真奈の足元が心許なく崩れそうになる。



それを支えながら、圭吾が口元を緩める。

それでも更に真奈の舌を求めて口内を舐め回す。


圭吾に支えられながら、真奈はもっともっと……とキスをせがんだ。

熱い呼吸に、互いに強く抱き合いながら。




それを見ているのは、大きな丸い月だけだった。
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