この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しい記憶
第2章 断片
「おかゆ……食べる?」
彼女に聞かれて、無意識に胃の辺りに手を当てた。
腹は減ってない。
「……今は、いい」
「ちゃんと、食べてるの…?」
彼女に聞かれて、最後に食べた食事を思い出そうとした。
けれど、まるで記憶にない。
食べたもの……
俺はいつ、口に物を運んだんだろうか。
「友也(ともや)……?」
彼女は、俺の方を見て、そう言葉を発した。
“ 友也 ”
そうか。
そうだった。
俺の名前は、友也だ─────
「ごめん……」
「……やっぱりまだ、つらそうだね」
トットット…とコップに液体が入り込む音が響く。