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愛しい記憶
第7章 欲求
これは…
ベルベットの肌触り。
ゆっくりと中身を開けるが、そこには何も入っておらず、指輪を入れ込む溝だけがあった。
「思い出す必要…ないのに」
「─────っ」
聞きたくてたまらなかった声音に、背筋を伸ばして顔を上げた。
「マミ…っ──」
「思い出さなくて…いいんだよ」
伸ばしたマミの左手にキラリと輝くものが見えて、目を見開いた。
今まで、マミは指輪なんかしていただろうか…
「突然消えるなよっ……」
悲鳴に近い声が上げて、俺は目の前に現れたマミを引っ張って抱き寄せた。