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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第9章 あの時-千弥の封じた過去

その日のLINE、はいつもと少し違った。
『俺の家に来れないか?』
こんなLINEが来て私は迷う。ずっと外でばかり会っていたのに、なぜ急に九鬼の家に行かなければいけないのか。それに行ったら、ただでは帰って来れない、絶対にセックスに持ち込まれてしまうんじゃないか。
この時の私はまだ処女で、脱処女したい気持ちはあれど、周りから聞く初体験の話に、ちょっと怖さを感じていた時期。

「どうしよう」

何度も九鬼先輩と付き合い、俺様だけどそこまで悪いタイプではないとは思ってる。処女でも大丈夫だよね、ちゃんとしてくれるよね? 今までの態度を信用して、私はオッケーのLINEを入れた。

九鬼は1年留年の今年23歳、当然車を乗り回していて、私の家まで迎えに来てくれた。

「良いんですか、先輩の家にお邪魔して」
「あぁ、都合一軒家で独り暮らしだ、それにもてなしの準備くらいはしてるぞ?」
「ありがとうございます」
「まっ、楽しみにしてろ」

車は私の家を離れて、街でも高級住宅街と呼ばれている方向に進む。
少しだけ話は聞いたこどがあるよ、九鬼先輩の家はそれなりにお金持ちだって。だけどそれはあくまでも噂であり、私自身が確かめることになるとは思ってもいなかったの。

着いたのは本当に豪華そうな一軒家、噂は嘘じゃなかったんだ。駐車場に車を入れ、私を下ろし玄関を開ける、中も私の家では考えられないくらいの、ゆとりのある豪華な間取り。
見とれていた私が悪かったのか、九鬼は私の手を引いてドンドンと家の奥に向かって行く。

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