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喝采
第2章 コーヒー・カンタータ
「俺はいつものでいいかな」
雫石と奥のテーブル席に落ち着いた谷田部には、どうやらお気に入りのメニューがあるようだった。
「いつもの?」
「ああ。ナポリタンとブレンドコーヒー。コーヒーもいいけど、ここのナポリタンは最高なんだ」
「食事もするのか?」
雫石は本当にお茶をするだけだと思っていたようだ。だが「ツィンマーマン」に来てナポリタンを食べないのは、モグリのすることだ。
「食事には少し早い時間だけど、またあとでわざわざ他の店で食べるのも面倒だしさ」
「なるほど。それならば僕も拓人と同じでいい」
「マスター! ナポリタンとブレンド二つずつね!」
「はい」
ナポリタンについてくるサラダをつつくうち、二人の元にナポリタンが運ばれてきた。誰しも郷愁を感じる、懐かしい香り。
「来た来た。待ってました!」
ナポリタンの具材はシンプルにピーマン、玉ねぎ、ソーセージのみ。ケチャップよりもまったりと濃厚な秘伝のトマトソースが、太めのパスタに絶妙に絡む。
「やっぱりうめー。な、美味いだろ?」
「ああ」
雫石は淡々とフォークを動かしている。まったく音がしないのはさすがヨーロッパ育ちだった。だが、本当にナポリタンを美味しいと思っているのか、表情に乏しい顔からは判断できない。
「ごちそうさまでした」
二人が食事を終えると、絶妙なタイミングでブレンドコーヒーが運ばれてきた。マスターの気配りと目配りはさすがだった。
雫石と奥のテーブル席に落ち着いた谷田部には、どうやらお気に入りのメニューがあるようだった。
「いつもの?」
「ああ。ナポリタンとブレンドコーヒー。コーヒーもいいけど、ここのナポリタンは最高なんだ」
「食事もするのか?」
雫石は本当にお茶をするだけだと思っていたようだ。だが「ツィンマーマン」に来てナポリタンを食べないのは、モグリのすることだ。
「食事には少し早い時間だけど、またあとでわざわざ他の店で食べるのも面倒だしさ」
「なるほど。それならば僕も拓人と同じでいい」
「マスター! ナポリタンとブレンド二つずつね!」
「はい」
ナポリタンについてくるサラダをつつくうち、二人の元にナポリタンが運ばれてきた。誰しも郷愁を感じる、懐かしい香り。
「来た来た。待ってました!」
ナポリタンの具材はシンプルにピーマン、玉ねぎ、ソーセージのみ。ケチャップよりもまったりと濃厚な秘伝のトマトソースが、太めのパスタに絶妙に絡む。
「やっぱりうめー。な、美味いだろ?」
「ああ」
雫石は淡々とフォークを動かしている。まったく音がしないのはさすがヨーロッパ育ちだった。だが、本当にナポリタンを美味しいと思っているのか、表情に乏しい顔からは判断できない。
「ごちそうさまでした」
二人が食事を終えると、絶妙なタイミングでブレンドコーヒーが運ばれてきた。マスターの気配りと目配りはさすがだった。