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埋み火
第1章 忍び火
(早く欲しい……)


 最初にキスして舌を絡めたら、もうそこからは博之が欲しくてたまらなくなる。

 優しく丹念な愛撫も嬉しいが、やはり体をつなげたい。

 博之とキスしながらつながっていると、いつも霧子はまるでその部分から深く溶け合ってひとつになるような錯覚に陥る。

 そしてまた来月、再来月と会えるまで寂しくないよう自分の体に博之を刻みたかったし、博之も自分の体に溺れてほしい。

 家に帰っても古女房など抱く気が起こらないように骨抜きにしてやりたい。


 男性の唾液には、女性が興奮するテストステロンが含まれているから深いキスだけで濡れてしまうことが多いと何かで読んだが、それにしても霧子の反応は早く、最初のキスですぐ下着の中が熱く湿ってくるので自分でも驚く。

 以前には起こりえなかったことばかりで、単なる欲求だけではなくどんどん自分のからだが変わってゆくのに戸惑いも覚える。

 博之とのセックスで霧子は「挿入だけがセックスではない」と知った。

 博之にしてみれば入れるだけなら持続時間が短くてすぐ終わってしまうからというのもあるが、そこに至るまでに丹念に霧子のからだを責めてくれるので、博之の訪れがいっそう待ち遠しくてたまらなくなる。

 覆いかぶさりキスしながらの愛撫でとうとう博之の指が腹部を撫で下ろして秘唇に直接触れると、びくんと背骨から震えがはしる。

 すぐには指を深く入れず、入口付近をうろうろしている。
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