この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
忘れられし花
第18章 花嵐
 光の傍、無言で過ごす離れの奥部屋は、しんとしてどこまでも静かだった。
 そして景色に溶けてしまったかのように、光は身動きひとつしない。

 光の傍でずっと待っていると言ったものの、じっとしていることの苦手な奏には、この静けさは苦痛だった。

「静かですね。光様は退屈ではないのですか?」

 あまりの静けさに耐えきれず、奏は光に話しかけた。

「静かに思えるこの部屋も、まったくの無音ではありません。雨や風の音、鳥や虫の声、離れの人々が働く音、何かしらの音が聞こえてきます。そのような音を聞いて、私は日々を過ごしてきました」

 柔らかい微笑みは、いつもと同じ。美しい微笑みの下、押し隠された孤独な心に、奏は気づいた。目が見えず足も不自由な光は、この離れの奥部屋でほとんどの時間をたった一人で、微かな物音だけを聞いて過ごしてきた。それでも他人には辛さも寂しさも一切見せず、夢見るみたいに綺麗に笑うのだ。

「僕に教えてください、本当の光様を」

 奏はゆっくりと慎重に、光を押し倒した。
 以前、光が奏を欲したように、体を合わせれば何かがわかるような気が、奏にもしていた。
/113ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ