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第14章 俺が一番

私が社長室へと入ると秋元さんが居た。

『ご無沙汰しております。』

と言って私に頭を下げる秋元さんは少し他人行儀だと感じちゃった。今の私はバイトではなく社長のお客さんという立場だからだ。だから他人行儀なのは仕方がないけれど私はちょっと寂しかった。

でも優誠が冬休みもここにバイトに来ていいって言ってくれたから私は秋元さんと冬休みにはまたお昼ご飯を一緒に食べようと約束をした。

当然のように私と秋元さんとの約束に不機嫌になった優誠は

『そろそろ行くぞ。』

と言ってすぐに私を会社から連れ出した。これ以上は適当な私が秋元さんと好き勝手に他の約束をしちゃうと優誠には困るらしい。

そして夕食の為にと向かった北新地ではテレビにも出るような凄い老舗のお寿司屋さんの個室に私は優誠に連れて行かれた。

個室の部屋の中にはネクタイに作業服を羽織った男の人と佐伯さんが居た。

珍しい…、結城さんは外で待っているのに佐伯さんとは優誠は一緒にご飯を食べるんだ。

と私は考えた。そんな私に

『現場主任の高田だ。』

優誠が作業服の人を紹介してくれた。良二さんはなんか優誠や佐伯さんと比べると随分と子供っぽい顔をしていてちょっと軽い感じがする男の人だった。

『良二でいいよ。美奈ちゃんだっけ？俺は優誠とは中学からずっと同級生なんだ。』

とその良二さんが私に言って来た。

ほえー？そうなんだ。

とか私が思っていたら綺麗な顔の佐伯さんが

『お前は相変わらず軽いな。』

と良二さんと普通に話しをしていた。優誠が佐伯さんは優誠達の同じ中学で２個上の先輩なんだと説明してくれた。

しかも佐伯さんのお父さんも優誠のパパさんの組員さんだから優誠と佐伯さんは小さいな時からお互いを知っているから言ってみれば３人は幼なじみなんだと私に教えてくれた。

だから佐伯さんだけが優誠の部屋の鍵を持っているのかと私は納得をした。そうやって私がぼんやりと考えると容赦なく私に優誠のデコピンが飛んで来る。

『痛い…。』

おデコを押さえる私を見た良二さんが

『お前、女の子に容赦ないな。』

と優誠に呆れている。優誠は

『容赦ない適当を俺にするのはこいつの方だからな。だからこれは躾だ。しつけ！』

と言ってふてくされた。