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一秒に見えた世界
第5章 ふざけるな
私はまた色々と考えた。

なんで優誠ってこんなに強引なんだろう…。結婚とかいきなり過ぎるし、せめて避妊くらいはして欲しい…。

でも私がそう思っていると優誠は

『だからお前そうやってくだらない事あれこれ考えるのやめろよ。』

と言ってドライヤーを止めて片付けていた。

『くだらなくないよ。だって避妊って凄く大事な事だもん。うちのママは産婦人科の医者だからそれだけは絶対にしなさいって言われて来たし…。』

『俺はゴムなんか付けんぞ。どうしてもいやならお前がピルでも飲んどけ。』

と優誠が私に冷たかった。

なんで優誠ってこうなんだろ。優しい時と怖い時の差が激し過ぎるよ。

そう思って私はまた泣きそうになった。優誠がそんな私の顎を掴んでキスをして来た。

『そういう顔はするな。さっさと服着ろ。』

って私に命令だけをしたら脱衣場から優誠が出て行ってしまった。

なんとなく寂しい気持ちのまま私は服を着た。廊下に出たらまた優誠が無理矢理に私の手を引っ張って玄関を出ていた。優誠のベンツにまた乗って、ずっと不機嫌で黙っている優誠に私は悲しくなった。

優誠は街外れの小さな焼き鳥屋さんに私を連れて行ってくれた。お店はこのお店のマスター1人だけですって感じでカウンターだけの本当に小さな焼き鳥屋さんだった。お店のマスターが

『今日はほとんど売れてしまったからあんまり良いのが残ってないんだよ。お兄さんが来るのなら前もって言ってくれれば少しは残しといたのに。』

と申し訳なさそうに優誠に言った。優誠は

『適当に出してくれたらいいよ。』

と言ってマスターには普通に機嫌が良かった。

なんか毎回、私にだけ不機嫌って酷くない?

とか私が思っていたら私の前にマスターが烏龍茶を置きながら

『お兄さんがここに誰かを連れて来るって初めての事だね。』

って言った。

え?それって…

確か予約していたフレンチも優誠はまだ行った事がないって言っていた。優誠は今夜はまだ行った事がないところに本当は私と2人で行きたかったんだ。

なのに私が優誠に変な事を言ってしまってその予定を潰しちゃったんだ。だから優誠は仕方がなくいつもは1人で来る場所に私と来たんだ。
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