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秘密のピアノレッスン
第12章 きよしこの夜
マンションの駐車場まで二人で下りた。
クリスマスイブの空の下に先生と二人でいられる喜びと、もう帰らなきゃいけない諦めと、複雑な気持ちでいた。
「どうぞ」
先生の車は、シックな青いセダン。寝室の青のイメージそのままだ。
先生が助手席のドアを開けてくれて、「ありがとうございます」と乗り込む。
「確か、近いんだよね。僕の実家と」
「はい、そうですね」
美しい指先が眼鏡を上げたあと、ハンドルに触れる。
運転する先生にドキドキしながら小さく咳払いをした。
さっき、あんなに愛し合ったのに……車に乗るのは緊張する。
先生は、「どうぞ」と私にキャンディをくれた。咳払いも見逃さないなんてすごいなあ……。
こういう、気の付くところは、王子様のように素敵で尊敬の念すら覚える。
くまのシールをくれた時も、誕生日も、いつだって素敵だった。
「僕の母と更紗ちゃんのお父様が幼なじみなんだってね。と言っても、母の方がいくつか年上だと思うけど」
「え……そうなんですか?」
「そう。君のお父様が小さい頃、僕の祖母のピアノ教室に通ってたんだって」
知らなかった……。
先生から、私の知らないパパの話が聞けるなんて。不思議と、今まで佳苗先生からも聞いたことがなかった。
クリスマスイブの空の下に先生と二人でいられる喜びと、もう帰らなきゃいけない諦めと、複雑な気持ちでいた。
「どうぞ」
先生の車は、シックな青いセダン。寝室の青のイメージそのままだ。
先生が助手席のドアを開けてくれて、「ありがとうございます」と乗り込む。
「確か、近いんだよね。僕の実家と」
「はい、そうですね」
美しい指先が眼鏡を上げたあと、ハンドルに触れる。
運転する先生にドキドキしながら小さく咳払いをした。
さっき、あんなに愛し合ったのに……車に乗るのは緊張する。
先生は、「どうぞ」と私にキャンディをくれた。咳払いも見逃さないなんてすごいなあ……。
こういう、気の付くところは、王子様のように素敵で尊敬の念すら覚える。
くまのシールをくれた時も、誕生日も、いつだって素敵だった。
「僕の母と更紗ちゃんのお父様が幼なじみなんだってね。と言っても、母の方がいくつか年上だと思うけど」
「え……そうなんですか?」
「そう。君のお父様が小さい頃、僕の祖母のピアノ教室に通ってたんだって」
知らなかった……。
先生から、私の知らないパパの話が聞けるなんて。不思議と、今まで佳苗先生からも聞いたことがなかった。