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記憶の彼方に眠る恋
第6章 両親の決断、紗友莉たちの苦悩
 映画はなかなかの盛り上がりのうちに幕を下ろし、満足げな表情で席を立つ鳴澤と綾子。
 すると、そんな綾子の目に、見知った女性の姿が飛び込んできた。
 見知らぬ男性と仲睦まじく手を繋いでいるその女性―――美香に向かって、綾子が駆け寄り、声をかける。
「あの……。すみません、大変失礼ですが……」
 少し驚いた様子で振り返る美香と淳次。
 実は、拓麻の件について最初に紗友莉が報告してくれたあの日の昼休み、紗友莉が見せてくれた写真に美香が写っていたことから、綾子は美香の姿を見知っていたのだ。
 綾子が全て事情を話した上で、四人それぞれ自己紹介を終えると、「全員が、紗友莉とかなり親しい仲にある」という共通点から、一同の間に和やかなムードが生まれた。
 特に、美香と綾子はすぐさま意気投合し、連絡先を交換し合うことに。
 その後は、別々にデートを続けた二組だが、美香と綾子は「新たな友達が出来た。紗友莉の友達ということはきっと良い人のはず」と、お互い内心密かに大喜びしていた。
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