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記憶の彼方に眠る恋
第4章 再会
 拓麻は相変わらず、穴の開くほど紗友莉の顔を見つめたままだ。
 多少のきまずさも感じ始めながら、紗友莉はすぐさま口を開いた。
 慎重に言葉を選びながら。
「あ、えっと、久しぶり。……だけど、その様子じゃ、覚えてないよね。中元紗友莉です」
 しかし、拓麻はいまだ一言も発せず、紗友莉を見つめたまま固まっている様子だ。
 拓麻の母は、そんな拓麻の様子を見ながら言った。
「拓麻、もしかして……。紗友莉ちゃんのこと、覚えているの?」
 すると、拓麻は目をしばたたかせると、夢から覚めたかのような様子で、やっと声を出した。
「いや、覚えてるわけじゃないけど……。何だか、どこかで会ったような気がして……」
 拓麻の母はこの答えに、身を乗り出しながら言う。
「え?! ホントなの?!」
 驚いたのは紗友莉も同じだ。
 拓麻は相変わらず紗友莉を見つめたまま言葉を続ける。
「いや、はっきりしないけど、そういう気がしてるだけ。紗友莉……だっけ? 同い年で幼なじみみたいだし呼び捨てでいいよな? ちなみに、紗友莉と俺が付き合ったことは今まで一度もないの?」
 この発言に、紗友莉はドキマギして言葉を失ってしまう。
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