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ずっと傍に……
第31章 進むべき道…
『友紀也…』
愛しい人の名前を呼んだ。
その問いかけに、友紀也はフッと優しい笑みをこぼした。
『何でしょう?』
『…うん…友紀也に…触れたい…いい?』
目の前に友紀也が現れて未だに触れ合っていない。
愛した人が手の届く場所にいるのに触れられないのがイヤだった。
『触れるだけでいいんですか?僕は陽葵を抱きしめてひとつになりたいのに』
妖艶に微笑みながら、友紀也の腕が私を包み込んだ。
服の上からでも分かる友紀也の温もり。
そして友紀也の匂い…
『友紀也…会いたかった…』
『ええ。僕も会いたかったですよ…頑張っている陽葵を見て褒めてあげたかった…』
耳元で喋る声が心地よい。
時たま耳にかかる息遣いが、奥底に眠っていた感情を呼び起こす。
友紀也の腕の中から顔を上げれば、友紀也の瞳に私が映り…きっと、私の瞳に友紀也が映っている。
そして唇が触れるまで数センチ。
『友紀也…』
『陽葵…』
お互いがお互いの名前を呼び合って、惹きつけられるように唇が重なった。
触れるだけのキスなのに、身体中から沸き起こる熱が私を支配する。