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ずっと傍に……
第31章 進むべき道…
―…
――…
―――…
『頑張ってますね』
懐かしい声に瞳を開くと、いつもと変わらい笑顔が私に向いていた。
『友紀也にはまだまだ追いつけないけど、頑張ってるよ』
『それでも…僕が願う通り、教師になった陽葵を見られてうれしいですよ』
『やっとだよ…教師になりたいと思って10年…友紀也が望んでくれた…ううん…私を導いてくれた未来に辿り着くことができた。だけど、友紀也の意志は継げてない…』
『当り前ですよ。簡単に継がれても困ります。陽葵の教師生活は始まったばかりです。一歩ずつ前に進めばいいんです。年を重ね経験を重ね…いつか僕の意志を継いで立派な教師になれる時が来ます。焦らずに進んでください』
友紀也はいつだって欲しい言葉をくれる。
どう頑張っても、友紀也みたいな先生になれない。
教壇に立っていた年月も違えば、社会にでていた長さも違う。
一日でも早く友紀也に追いつきたくて、友紀也の意志を継いで悲しむ生徒をひとりでも救いたいと焦らないわけがない。
だけど、そんな私の心を、友紀也は一言で片づけてしまう。
昔からそう。
私の心を一番に癒してくれる存在。