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ずっと傍に……
第34章 見えない想い…
「最近、よくでかけるよね」
鏡の前で最終チェックをしていると、ドアに背中を預けて冷たい友也の言葉が耳に届いた。
振り返ると冷ややかな眼差しが私に向いている。
「テーブルの上にご飯の用意はしてあるから…宿題して遅くならないうちに寝なさいね」
友也は、はぁ?というような不機嫌な表情をして扉をガンと大きな音を立てて出て行った。
最近はでかけるたびに声をかけてくるようになった。
どこにでかけるのか聞いてはこないけど、これも一つのコミュニケーションだと私は思っていた。
私は友也の心を知らずに、デートにでかけた。
待ち合わせ場所には、いつものように高梨先生が先に到着していて、私を見つけると満面な笑顔で近づいてくる。
これはいつもと変わらず、ホッとする瞬間だった。
近づいてきた高梨先生の手をスッと握ると、高梨先生はギュっと握り返してくれる。
「今日は何を食べに行きましょうか?」
「そうですね…今日は普通に焼き鳥が食べたいです」