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ずっと傍に……
第36章 意志を継ぐもの…
「友也はそろそろ帰ってくる頃じゃないのか?」
隣に座っている小林先生がパタリと教科書を閉じながら開いた。
「はい。やっと来週に帰ってくるんですよ。行ったきり一度も帰って来なくて…」
「電話はあるんだろう?」
「はい、それはきちんと連絡はきますね。」
「男の子だ。それが普通だろう。気にしなくても、友也は良い子に育ったよ…」
小林先生がそう言ってくれるとなんだかうれしい。
中学の時は反抗期で荒れていた時期もあったけど、それは大人になるための通過点だった。
心の奥底にあるモノは小さい頃と何も変わらない。
私を心配し小さいながらも守ろうとしてくれていた友也と変わってはいなかった。
その友也も高校2年になった時、語学留学したいと言い出して日本を飛び出してしまった。
それから3年、連絡はあるけど一度も帰ってくることもなく世界を回り自分のやりたいことに夢中だった。
その友也も落ち着いたのか来週には帰ってくると言う。
早く会いたい。
恋人に会うかのように私の心はドキドキして一日一日と指を折る生活をしていた。