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ずっと傍に……
第36章 意志を継ぐもの…
「帰ってきたら何をするか決まってるのか?」
「さぁ…詳しくは聞いていませんが…やりたいことはあるそうです。」
「そうか。しかし、帰ってくるなら楽しみだな。」
高校一年の時の担任だった小林先生は今でも友也の事を心配してくれていた。
急に留学したいと言い出して3人で色々と話し合いをしたのが昨日のように感じてしまう。
そう…私もいつの間にか44歳。
自分がこんな年齢になってしまったのかと思うと時の速さを感じずにはいられない。
「一度顔を出す様に言ってくれ。3年ぶりの再会か…俺も楽しみだな」
「はい。友也に顔を出す様に伝えておきますね。」
「ああ、そうしてくれ。俺が辞める前に会えるのはうれしいよ」
その言葉に少し寂しくなる。
小林先生は今年で60歳。
寂しいことに、あと1年で定年を迎え学校を辞められる。
とても寂しいけど、ずっと第一線で活躍されてきた方。
今後はゆっくりと自分の時間を楽しんで欲しいと思う。
「さて、今日は帰るか。春休みの間ぐらい定時で帰りたいものだ」
小林先生の言葉で、仕事を切り上げて帰ることにした。