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ずっと傍に……
第39章 ずっと傍に…
「奈津(なつ)ちゃん。こっち側見える?」
「和ちゃん、見えるよ。手を伸ばしたら届くかな?」
「届くかやってみようよ。僕が手を入れるから、奈津ちゃん握手して」
「分かった…―――…あ~握手できた。和ちゃんスゴイスゴイ!!」
梅雨時だと言うのに雲ひとつない快晴の下、奈津と和也のはしゃぐ姿を見ながら月日の流れを感じていた。
まだまだ小さくて、私の腕の中でスヤスヤと眠っていた頃が遠い昔のように感じてしまう。
それだけ、私が年を取ってしまったと言う事…
長かったと思う…
死にたくて死にたくて、でも死ねなかったあの時から幾年、幾十年過ぎ去っていったのか…もう数えなくなってどれくらいたったのかさえも分からなくなった。
ひとりだった私に家族がひとり増え、ふたり増え、今では6人もの愛する者たちに囲まれて幸せな日々を過ごしている。
「お義母さん。寒くないですか?」
「ええ…大丈夫…今日は気分がいいのよ…」
「分かりました。俊也(しゅんや)達が戻ってきたら始めましょうね」
そう言って準備のために部屋に入って行ったのは友也のお嫁さんの遥(はるか)さん。
気立ての良いおっとりとした、友也にはもったいないぐらいのお嫁さん。
いつまでたってもマザコンで、母離れできない友也でも文句ひとつ言わずに傍にいてくれる最初に増えた私の新しい家族。