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ずっと傍に……
第51章 認めた瞬間
「今日は来ないんでしょうか……」
冷房の効いた部屋の中、僕の口から零れ落ちた言葉に、僕自身が驚いて自分の口を自分の手で覆った。
「いやいやいや、まさか……僕は教師で彼女は生徒、そんな事はありえない」
軽く頭をふり、今しがた脳裏に浮かんだ想いを打ち消した。
打ち消しても脳裏に浮かぶのは彼女の屈託のない笑顔。
毎日のように先生先生と好意を寄せてくれる2年の生徒。
正直、こんな僕のどこが良いのか見当もつかない。
プライベートの僕を知っているのならまだしも、学校での僕しか知らないなら尚更……
髪がボサボサでシャツもアイロンもかけてないヨレヨレ。
黒縁眼鏡で素顔を隠し、生徒に好かれるには程遠い格好をしているのに彼女だけは他の生徒と違い僕に懐いてくれていた。
それがイヤだとか思わないから不思議でならない。
人間関係を面倒の一言で片づける僕が……気になっている。
「だから、ありえない。僕が彼女の事を気にいっているなんて」
もう一度、頭をふり良からぬ想いを脳裏から消そうとした時、部屋のドアが勢い良く開き、彼女の元気な声が室内に木霊した。