この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ずっと傍に……
第18章 うそつき…
「友紀也ッ?」
「少しこのまま…」
このままと言われ、私は頷いて友紀也の背中に腕を回した。
近所の人に見られたらという心配をしながら、こんな風に甘えてくれるのがうれしくてついつい許してしまう。
少し抱きしめていると満足したのか抱きしめている腕を解き、触れるだけのキスをしてくれた。
「このままここで見送りますから、陽葵は家に入ってください」
友紀也は一歩後ろに下がり、家の中に入るように促す。
「…うん…じゃ、またね。」
「はい。…さようなら」
いつもの挨拶を交わして、私は玄関に入って扉を閉めた。
ドアが閉まるとコツコツと友紀也の遠ざかる足音が聞こえてきた。
玄関先まで追いかけてきて抱きしめるなんて、別れるのが寂しかったのかななんて、友紀也の想いなど知らずに能天気に考えていた。