この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ずっと傍に……
第22章 幻でもいい…

―――――…

その後の記憶は曖昧で、今、ここにいることが不思議だった。
誰かに支えられながら友紀也を送り出し、建物の中にいるのが苦痛で逃げ出す様に外に出てきている。
ただ煙突から上がる煙を見ながら、私の心の中にあるのは、友紀也の後を追う事。
生きて欲しいと言われても、友紀也のいない人生に意味などない。
いつかは笑える日がくると友紀也は言ったけど、笑える日なんて来るはずがない。


だって…あなたはいない…


「最後の約束…守れなくてごめんね…」

そう呟いても返ってくる言葉は、もうなかった。
暫く流れる煙を見ていると、志保さんが私の元にやってきた。
作り笑いをしながら気丈な態度に、さすが友紀也の妹だと感心する。

「陽葵さん…これ…お兄ちゃんから預かってたの…もし自分が死んだら、陽葵さんに渡してあげてって…そして強く生きて行って欲しいって」

志保さんは封筒を渡してくれた。
そこには陽葵へと書かれてあった。

「お兄ちゃん…ずっと陽葵さんのこれからの事、心配してたよ…自分の後を追わないか…心配してた…だからこれを残すんだって…読んであげてね。最後のお兄ちゃんの言葉…聞いてあげて」

それだけ伝えると、小走りに建物の中に入っていった。
その後ろ姿を見ながら、手に持っている手紙をくしゃりと握りしめた。
/1528ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ