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ずっと傍に……
第22章 幻でもいい…
「友紀也…待っててね…遅くなったけど…今から逝くね」
ここは12階。
飛び降りて死ぬには問題ない場所…
ベランダの窓を開ければ風と一緒に雨が降りこんでくる。
土砂降りだった雨は未だに降り続け、外に一歩踏み出せば雨は容赦なく私に叩きつける。
さっきまで温かかった身体には冷たい雨は身に染みる。
下を見れば、パパとママと蒼が傘をさして歩いているのが見えた。
パパやママたちより先に逝くこと以上に親不孝なことはない。
あの時、何が何でも連れ帰るべきだったとパパもママも嘆き悲しみ、一生傷を背負って生きていくのかもしれない。
それでも、私は友紀也の後を追いたい。
それが私の幸せだから…
「パパ、ママ、ごめんなさい…先に逝くこと…許してください」
私は手すりに手をついて身体を乗り出し……