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ずっと傍に……
第29章 きっかけ…
「ママ…大丈夫?」
友也が心配そうにベッド傍で涙ぐんで私の手を握りしめる。
「大丈夫…友也にうつるといけないから一人で遊んでいてくれる?」
ゴホゴホと咳をしながら告げると、心許ない顔をして頷きながらも部屋から出て行こうとはしない。
「少し寝れば大丈夫だから。ねっ?友也にうつっちゃう方がママ悲しいの…分かる?」
「…ママのお願い?」
「そう…ママのお願い」
そう言うと、コクリと頷きながらポロリと涙を流す友也を抱きしめ抱くなる。
だけど風邪をうつすわけもいかず、心を鬼にして友也を追い出した。
見えないところで遊ばせるのは心配だけど、今年から幼稚園に行き出したから大丈夫だろうと自分に言い聞かせて目を閉じた。
久しぶりに熱を出すと身体はだるい。
数日前から調子が悪いのは気がついていたけど、気力で乗り切ろうと思ったのが間違いだった。
日に日に身体の疲れが増し、とうとう熱まで出してしまった。
さっき熱を測ったら38度で、気力だけで乗り切れる状況ではなくなり、こうしてベッドに横になり目を閉じれば、グルグルと渦巻く闇に引きずられるように落ちていった。